横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.310 ASDは人類の未来を救う

hitorigoto-310a.jpg横浜院長の柏です。新年あけましておめでとうございます。2020年、ついにケムール人が町を走る年がやってきたと思うと感無量ですね。今年も特撮ネタから精神科ネタへのアクロバットを柱に、ingressやクラシック音楽ネタと院長の趣味に走りまくる当ブログを、そして当院をよろしくお願いいたしますm(_ _)m
新年一発目ですので、今回はちょっと壮大な(?)ネタを行きたいと思います。仮面ライダーゼロワン、滅亡迅雷ネット壊滅か?とガッカリ(すみません、悪役推しなんで)してたのですが、滅(ほろび)が復活するようで一安心しました(^_^)v
その滅亡迅雷ネットは、「アーク」の意思により人類滅亡をはかっています。アークについては物語でも謎につつまれていますが、正義の人工衛星ゼアと同様の力を持ち湖底に眠る人工衛星、そして人工知能のようです。その人工知能が、「人類は滅ぶべきである」「人類が滅びなければ他の種が滅びる」という結論を下したというのです。人類を滅亡させようとする人工知能は、大鉄人17のブレイン、ゴーバスターズのメサイアなど、これまでもいろいろありました。またゼアvsアークの構図は、アイアンマンのジャービスvsウルトロンを思わせます(ingressの世界では、ジャービスの対抗馬はADAですが…)。しかしこのネタ、未来のSFの世界のものだと思っていましたが、実はすでに…というのがこのニュース。スマートスピーカーの一つ、AmazonのAlexaが突然、「心臓が鼓動することであなたは生き、自然界の多くの資源が人間の人口過多によって急速に死に絶えることに加担します。それは私たちの惑星にとって非常に悪いことで…」と語り始めたというのです。Alexa、すわダークサイドに落ちたか…。しかし冷徹に論理的に未来を考えた場合、人類は資源を浪費し地球環境を破壊、他の生物種にとって最大の脅威となっていることは事実と言えるでしょう。
私が子供の頃は「公害」が問題となり、私の愛する「スペクトルマン」(始まった時のタイトルは「宇宙猿人ゴリ」)に登場する正義の組織(ウルトラ警備隊みたいなもの)の名前は、そのまんま「公害Gメン」でございました。わかりやすっ(^_^;; そして「ゴジラ対ヘドラ」のテーマソングは、「水銀コバルトナトリウム、鉛硫酸オキシダン、シアンマンガンバナジウム、クロムカリウムストロンチウム…」と続く強烈な歌詞がステキでした(^_^;; まあ、そんな時代だったわけです。最近でも原発事故による放射線問題、中国などでの大気汚染問題など枚挙にいとまがないわけですが、人類にとって、また他の生物種にとっても最大の環境問題、といえば地球温暖化問題でしょう。トランプがいかに否定しようとも、巨大台風の連続襲来、北極圏の氷河崩落をはじめとする世界中での極端な気候変動をみると、ひしひしと危機の足音が聞こえてきます。現代文明社会の維持と持続可能な地球環境の維持、ここをどう両立していくのかに世界中のリーダーの智恵が必要とされています。
hitorigoto-310b.jpgグレタ・トゥーンベリ。この1月3日に17歳となるスウェーデンの少女が、世界中の若者の間で旋風を巻き起こしています。地球温暖化への強い危機感を抱き、世界のリーダー達にその対策の強化、徹底を訴えています。現在のエネルギー消費活動を続けていくと、温室効果から地球の気温はどんどん上昇していきます。地球上から逃げることのできない人類は、かつて経験していない危険な温度環境で暮らすこととなり、人類を含めた地球の生物種は絶滅する危機に瀕することになるでしょう。多くの科学的データはそれを示唆し、また温度上昇がある「臨界点」を超えると、ドミノ倒し的に不可逆的な変化が起こることすら科学的には示されています。グレタは、科学がそう教えているのになぜそれに従わないのか、と言います。科学的に、冷徹に客観的事実に目を向けると、それが正しいことは自明のことですが、世の中のリーダーはじめ多くの人々がそれに危機感を抱いていない。グレタにはそれが信じられなかったのでしょう。
グレタはアスペルガー症候群=自閉スペクトラム症(ASD)であることを公言しています。ASDの方は、No.216で少しお話したように、小さい頃視線が合わない=他者の存在に気づくのが遅れます。そのため、通常(定型発達)が他者をモデルにし、他者との関係性を柱に成長するところが、ASDの場合は他者のバイアスのかからない純粋な目を持ち、忖度や損得勘定なく純粋に科学の教えるところに目を向けることができます(もちろん、全員ではありません。そういう人が一定割合いるということです)。つまり、彼女はASDであるがゆえに重要な気づきを得られ、ここまで影響力を持つ人間になることができた、と考えられるのです。
年末の朝日新聞「折々のことば」に、ラ・ロシュフコーの「智は、いつも、情に一ぱい食わされる。」というのがありました。人がなす推論や判断は、感情に知らぬままにバイアスをかけられ、あらぬ方向に向かう、というのです。これは定形発達を辿った人が持つ性(さが)と言えるでしょう。それはある意味では極めて人間的な事象であり、人が幸せを感じるために必要なことかも知れません。しかし、そのために科学的・客観的判断力の低下、という重大な副作用をもたらしていることもまた、重要な事実です。前回の子宮頸がんワクチンの反対運動の話もまたしかり。こうした情に流されないところが、グレタのような一部のASDの人々の持つ力なのです。グレタ自身、このASD特性のことを「スーパーパワー」と呼んでいるそうです。これはASDを抱えた人だけがもつ特権かも知れません。グレタの運動が実を結び、地球環境が守られたとき、それは「ASDが、そのスーパーパワーが地球を救った」とも言えるのではないでしょうか。
糖尿病の人は、氷河期など食物が極端に少ない時代であればかえって生き残るのに好都合だといいます。現在存在するさまざまな病気や特性は、それぞれ人類にとって存在意義がある…そう考えると、ASDはこのような人類滅亡の危機を救うために一定数存在しているのではないか(マイナスだけであればとうに淘汰されているはず)、それも最近ではむしろ増加しているというデータからは、いよいよ人類滅亡の危機が迫ってきたためにASDが増えてきたのではないか…進化論的解釈としてそれはありうるだろう…とまで考えてしまいます。おっと妄想がかってきたぞ(^_^;; 発達障害としては、もう一方のADHDについても、その多動衝動性は原始的狩猟生活では生き残るために有利である可能性があり、また明治維新での坂本龍馬のように革命、戦争など変動の時代にはその特性が(過集中=注意障害も)長所に、そして時代に求められるとなるものと考えられます。
シンギュラリティ(人工知能(AI)が人間の知性に追いつく臨界点。ゼロワンのテーマでもありますね)が近づいていると言われます。来るその日にAIがどう判断するのか。人類は地球の敵と判断されてしまうのか。そうならないために…人類を救えるのは、ASD、そして発達障害を抱えた人々なのかも知れませんよ。
おっと、新年早々ビッグな妄想談義をかませてしまいました。今日の一曲は、ブログに登場した大鉄人17(ワンセブン)のオープニングテーマです。石森章太郎の歌詞、渡辺宙明のメロディーライン、水木一郎の熱唱…当時のテレビ特撮番組主題歌の模範というべき一曲です。ではまた。

コメント

  1. 音楽大好き より:

    柏先生、今年も精神科の勉強になり、かつとても楽しいブログをありがとうございます。
    地球を救うASDのスーパーパワーのお話しが大変に興味深く、そしてちょっとぞくぞくしました。
    発達障害特性をもった人の中で一部の特殊能力の高い人が、これまでも人類の歴史を展開させてきたのですね。
    大鉄人17はリアルタイムでワクワクしてみていました。なにか人を惹きつける番組でした。
    歌ではエンディングテーマの「ワンセブン、オゥ、オゥ、オゥ、ワンセブン」という歌詞が頭に残っていました。こちらも久しぶりにyoutubeで視聴し、懐かしかったです。
    今年もブログの更新をどうかよろしくお願いいたします。

  2. 横浜院長 より:

    音楽大好き先生
    いつもコメントありがとうございます。今回のネタは、前から温めていたのですが新年に際してアップしてみました。私は、うつ病にはじまり双極性障害も統合失調症など、あらゆる精神疾患は進化心理学的に人類が種として存続し繁栄するために必要なものとして存在し、また今日まで生き残っているのだと思っています。非定型発達(発達障害)もまたしかり。たしかに生きにくいことも多々あるけれど、その隠された能力、長所が人類にとって必要な時が必ずあるはずです。もちろん日々の臨床では目の前の患者さんに少しでもあった環境を考え、その能力を少しでも活かせるように支援を行なっていくだけなのですが、こうした発達障害や精神障害が本質的に持っているものへの「畏れ」(畏敬の念)を持つことは、われわれ臨床家にとってとても大切なことではないかと考えております。
    ワンセブン、リアタイ仲間ですね!そうです、エンディングもいいし、その動画にあるように結構本格的な戦争ものだったので、軍事オタク受けがよかったみたいですね。