横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.035 デスマーチ

横浜院長の柏です。今朝はゴーバスターズ、感動の最終回でしたね。私的には戦隊シリーズ史上最高傑作。陣マサト、男の中の男でしたね。惜しむらくは、エンディングクレジットを初期オープニングでやってほしかったなぁ。
さて、今月初の朝日新聞に『(追いつめられて:1)SE業界「死の行進」 迫る納期、連日の残業』なる記事が掲載されました。
こういう仕事をしていると様々なお仕事の方とお話しすることになります。どんな仕事も大変ですが(精神科医も・・・)、特にこれは大変だなぁ、と感じるのがSE(システムエンジニア)の皆さんとお話しする時です。
記事に端的にまとめられていますが、
 ・ 人手不足:もともとSEの数が足りない上、体調を崩した人が休むと、残った人の負担がさらに
  増える
 ・ 労務管理の甘さ:若い管理職が多く、過重労働への問題意識が乏しい。顧客に常駐する場合
  には、会う機会も少ない
 ・ 顧客対応:顧客から急な仕様変更を求められると、作業のやり直しが発生する
 ・ 迫る納期:予算を減らすため、顧客から短期間での作業を求められる。納期前のテストで
  不具合があると、徹夜で作業することも
 ・ 不規則な生活習慣:システム納入後も、運用中のトラブルには24時間態勢で対応
  (日立健康管理センター 林剛司センター長による)
こうした状況から連鎖的に不調をきたす者が現れる現象をデスマーチ(死の行進)と呼ぶそうです。このような状況が続くと心身に多大な負担がかかり、うつ病や過労死などの深刻な事態を招くリスクが高まります。時間的・量的な多忙さももちろん重大な問題ですが、精神科医の目から見てとくに気になるのは睡眠・食事のリズムが安定しないこと、自分のペースで仕事ができず十分な休養が取れないことの二点でしょうか。心身の回復には十分な時間の深い眠りが不可欠です。そもそも帰宅が遅く睡眠時間が短い上に、いつトラブルで電話がかかってくるかわからない(つまり、自分のペースで仕事ができない)状況では眠りも浅くなるのはやむを得ないことでしょう。食事の取り方も不規則となりがちで、人間として一番の基本である睡眠・食事が損なわれることは一番の問題と思います。
企業のコンピュータ化が進み、システムなしでは仕事が成り立たなくなっています。いずれはプログラミングから保守管理まですべてコンピュータがこなす時代になるのでしょうが、今はその過渡期であるがために人間であるSEがコンピュータ並のことを求められ、無理がきている状況にも見えます。記事で林先生も書かれていますが、業界全体の問題として対策が必要で、厚生労働省も早急に対応すべき問題と思います。
うつ病になった際は退職のような人生に関わるような決定はしないこと、復職にあたってはまずはもとの職場に戻ることが原則である、などといったこれまでの精神医学の常識を取っ払った方がよいと思われる事例が最近増えてきていると感じます。
どうにもならないと感じる前に、積極的に転職を考えるか、それも難しければ一度心療内科・精神科の戸を叩いていただければと思います。本当にどうにもならなくなった時には、そうした判断さえできなくなることもあります。ぜひお早めにご相談下さい。何よりもまず、命を守ること。命さえあれば何とかなるのです。

コメント

  1. むぎママ より:

    いつも先生には夫婦でお世話になっております。
    ゴーバスターズ、その次の仮面ライダーと合わせて観るつもりが調子が優れないのもあって二人揃って寝坊してしまい観れませんでした、無念であります(TT)
    SEのお話ですが、以前は某自動車会社のお膝元の地域にいたこともあって身近にこういう話がゴロゴロありました。
    自動車ひとつにしてもそれを取り巻くシステムの開発やら構築の仕事がわんさか、だけども慢性的な人手不足で一度入ってしまえば帰りたくても帰れないような現場もあるらしく、それを苦に職場のトイレで自死するような方もいたということを何年も前ですがSEをやっていた近しい人に聞き、なんともいえない思いを持ったことを覚えています。
    それに最近はIT業界だけに限らず「生きるために働いている」でなく「働くために生きなければならない」といった感じの空気がそこらかしこに漂っていて、それでも何も変わって行かない国内の労働環境に内心恐怖を感じています。
    働きたいけど健康も守りたい、それが当然のものとなる環境が整うまでは「逃げるが勝ち」なのかもしれませんね。それはそれでなんだか悔しいものですが・・・。

  2. 隊長 より:

    健康系の職場で働くことになりました。
    この記事読んでます。
    最初はコンピュータメーカに勤めていたので、この種の話はよく聞きました。
    以前にも増して、SEの負担は重くなっていますね。
    「デスマーチ」という怖い言葉で表現されているのがなんとも辛いところだと思います。
    景気を良くするのもいいのですが、バブル入社組としては、あの夢のような時間はもうないだろうと思ってます。
    働くことに何の意味を見出すのか?
    難しい世の中ですね。
    僕もいっぱい滞納していることがあり、肩身が狭い思いです。
    産業の空洞化が起こしたマイナスのスパイラル。
    なんで正直者は救われないのだろう。

  3. 横浜院長 より:

    むぎママさん、隊長さん
    「夫婦で」だけだと数組あるのですが、「某地域」でどなたかピンポイントですね・・・。書き込みありがとうございます。あら、最終回見逃しましたか。残念。。
    隊長さんもいつもご愛読ありがとうございます。
    「働くために生きなくてはならない」
    何かがおかしいですよね。デスマーチ的な状況になった時に、優しい人、周囲に気を回す人ほど「逃げ遅れて」さらにつらい状況に追い込まれているように感じます。ある人が抜けたあとで残された人がより大変になるのは、その人の責任ではありません。それは会社が責任を負うべきことなのです。デスマーチに入ったと感じたら、「勇気ある撤退」をぜひ考えて下さいね。

  4. まねきねこ より:

    ゴーバスターズ、私も寝坊しました。録画も予約していなかったし。なんでこの時期に最終回?どう終わるのか楽しみだったのに。柏先生は、戦隊ものしかテレビは観ないんでしたね。私は時代劇が好きです。あの「平清盛」も全回観た強者ですから。
     SE業界については、バブルのころから過労死、過労自殺が問題になっていました。SEに限らず、金融界もどこも、あのころはバカみたいに忙しかったと記憶しています。夜遅くまでビルには煌々と電気が輝いていて、それを人々は世の中の繁栄と誤認していたのでしょう。人を使いつぶす理念は結局改善されることなく今日に至っているようです。景気が良くても悪くても、過労死、過労自殺が絶えないとは、残念なことです。

  5. ゆぅ より:

    「ゴーバスターズ最終回」
    お世話になる様になって暫くしてからブログを拝読しておりましたが・・・
    丁度、当家の子供がスーパーヒーロータイムにハマる様に数十年ぶりに
    仮面ライダーと戦隊モノを見ましたが・・・最近のは色々な意味でスゴいですね。
    ゴーバスターズ最終回に関してはOPもEDカットしないと収まらない程の長さと言い
    果たして子供に理解できるのだろうか?と言う内容とストーリー・・・
    個人的には陣先輩のキレの良いダンスがもう見れないと思うと残念です。
    今度の奴はそういう反省を含めて軽くしてきたのかな?と思います。
    SE業界の「デスマーチ」に関しては友人や仕事上の取引先の事で
    小耳に挟んだことがあります・・・
    類は何とやらではないですが・・・業種業界によってはそういう悪習慣と環境を「是」
    とする業種業界が自分の業界も含めて有るんだと思います。
    個人的にもコレからどぉしたら良いのか?日々悩みながら今は仕事を何とか
    こなしていますので・・・
    今の病気と治療、仕事と生活をどういうバランスを取って行けるのか?
    結論はまだ出せません・・・

  6. 横浜院長 より:

    >>戦隊ものしかテレビは観ないんでしたね。
    いいえ。仮面ライダーも見ますよ(^o^)
    プリキュアはさんで「題名のない音楽会」も見たりしますね−。

  7. 横浜院長 より:

    ゆぅさま
    はじめまして(じゃないのか)。特撮座談会へようこそ(^o^)
    そうなんです、何か次(キョウリュウジャー)は軽くしてきた感じですね。
    敵方キャラが全部造形というのもどうも・・・。
    やはりエンターみたいな存在感ある俳優さんの出番がほしいですね。
    病気と治療、仕事と生活のバランス、難しいけれども乗り越えていかないといけないところですね。微力ではありますが、何でもご相談いただければと存じます。