横浜院長の柏です。おくればせですが、皆様あけましておめでとうございます。今年も当院および当ブログをご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
年の初めなので、私が感銘を受けた言葉を一つご紹介したいと思います。
“Reinhold Niebuhr’s prayer”
God, give us grace to accept with serenity the things that cannot be changed, courage to change the things that should be changed,
and the wisdom to distinguish the one from the other.
和訳するとこんな感じでしょうか。
「ニーバーの祈り」
神よ、
変えることのできない事柄については
穏やかに受け入れる恵みを、
変えるべき事柄については変える勇気を、
そして、それら二つを見分ける知恵を
われらに与えたまえ。
もう50年以上前の言葉だということですが、これは現代においても、ストレスマネジメントの基本の「き」になる言葉だと思います。図にするとこのようになります。
何らかのストレス状況がある場合、それを変えることができるならそれを変えてみればいい。でも、変えられない場合もあります。その時あなたはどうしますか。ニーバーの答えは「あきらめよう」でも「ふて腐れよう」でもありません。「受け入れよう」です。原文は、accept with serenityです。serenityを英和中辞典(研究社)でひくと
1【不可算名詞】 晴朗,うららかさ,のどけさ.
2【不可算名詞】 (心の)平静,落ち着き,沈着.
3 [S] 殿下 《称号》
とあります。ただ受け入れるのではなく、うららかで、のどかな落ち着いた心でそれを受け入れるということです。東洋思想でいうと「悟り」の境地でしょうか。
この「受け入れよう」というところはとても大切なところですが、実はニーバーの文章の一番大切なところは最後の一文だと思います。変えることが可能かどうかを見分ける知恵。これはとても難しいことです。受け入れるべきことを変えようともがき、変えるべきことを早々にあきらめてしまう。生きるとはいかに難しいことか。私たち治療の側に立つ者も、この知恵を持ち、患者さんとともにどうするべきか?を考えて行きたいと思います。
当院のリワークプログラムでは私が話す機会が2回あるのですが、いつもこうしたお話をさせていただいております。次回のプログラムは来月、2月1日開始予定です。まだ空きがあるようですので、ご希望の方は当院ソーシャルワーカーまでご連絡下さい。他院通院中の方でもそのまま参加可能ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
コメント
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
祈りの言葉、何教なんでしょうね。
引っ越してくる前の主治医がクリスチャンで、
「生きることは苦しみに満ちています。でも、人は生きていかなくてはいけないのです
それが人が生きていくということなのです」とおっしゃっていました。
その時は、あまりありがたくないなと思ったのですが、今は理解できたような気がします。