「新学期のクラス替えがとても不安。嫌な人と一緒になるのではないかと思うと、食欲がなくなり憂うつです。(中学3年生)」こんな質問が。
陰口、仲間はずれ、罵声、嫌味、さらには暴力などを振るう相手が、「嫌な人」と考えられるでしょう。よくあるシチュエーションで、不安や心配を持つのは自然なことです。
注意すべきなのは、「嫌な人」の行為が事実なのかどうかをしっかり確認すること。不快に感じる行為があったとしても、実際はごくわずかである場合などは、質問者が別の問題を抱えている可能性があります。
たとえば、他人の会話で自分の悪口を言われていると感じるような被害妄想が強い場合は、統合失調症やうつ病、不安障害も考えられます。このようなケースは、中学2,3年生に多い。
こどもからの相談に対して保護者は、「一つの人生経験」などと安易に判断をすべきではありません。背景に隠れているものは何か、その視点をもつべきです。
客観的に「嫌な人」に問題があるのか、人生経験の一つと言える範囲なのか、それとも心の病気があるのか。子どもの心労が、身体症状を伴うようであれば、心の病気のサインかも知れません。専門医への相談をお勧めします。いずれにしてもまずは、保護者が子どもの話をしっかり聞くだけでも、子どもの不安は半減するのではないでしょうか。
ハートクリニック院長 浅井逸郎
コメント