心療内科で採用している治療法「認知行動療法」って耳にすることがありますが、実際にどのような治療法なのかわからない、という人も多いのでは?
「認知行動療法は、心理療法の一種で、主にうつ病やパニック障害などの治療に適用されます。
認知行動療法とは?
「認知」とは、世界をどう見て、どうとらえるかという物事のとらえ方を指します。例えば、”体が動かない・重たい”と感じたとします。一般的には”疲れているのだろう、だから休憩しよう”と考える人が多いと思います。しかし、うつ病にかかっている人の場合”自分がダメな人間になってしまった”と考えて落ち込んだり、絶望的になったりすることがあります。認知行動療法は、こういった悲観的な考え方を健康的で前向きな考え方になれるようにトレーニングをしていきます。
具体的な治療法は?
“グループワーク”といって、不安やうつ状態など同じような症状を持つ人が集まり、1回1時間30分を12回(3ヶ月間)のプログラムを組み、セッションを行います。
例えば、出来事と気持ちと考えの関連性を学ぶ、自分の考え方の癖を知る、バランスのよい考え方を身に付けていく、行動面も変化させていく、生活面で実践していく、後戻りしないようにしていく・・・こういった内容を段階的を踏みながら、トレーニングします。また、症状によっては、認知行動療法と薬物療法を併用する場合もあります。
認知行動療法は、物事を悲観的に考える人や、人の言動で憂うつになりがちの人、マイナスなことが起こると自分を責めてしまう人、何でも完璧でないと不安になる人、悪い予測ばかりをして物事を避けてしまう人、薬物療法を受けているがよくならないという人、薬の量を減らしたい人に適した治療法です。 気になることがあるという人は、一度専門家に相談をしてみるのも一つの方法かもしれません。
心の余裕がなく、イライラ
3月は年度末ということもあり、夫が残業続きで、家の事を何も手伝ってくれないことにイライラして、心の余裕がないという人もいるのでは?
今、失業している人も多い中、残業があるだけでラッキーと思うのも一つの考え方ですよね。”家事は嫌なこと”という考え方だと、自分ばかり押し付けられていると感じるでしょう。嫌なものを押し付けられているのではなく、”楽しい事を共有する”といった視点・考え方を夫婦互いに持つと、イライラも減るかもしれません。
この考え方の転換も認知行動療法的実践の一つです。それでもどうしてもイライラしたり、マイナスに考えてしまうという人は、心のバランスが崩れている場合もあるので、専門家に相談してみてください。
認知行動療法とは?
ハートクリニック院長 浅井逸郎
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