介護には、私的な介護と社会的な介護とがあります。
私的な介護は、主に家族によって担われる為、家族介護とも呼ばれます。戦前の日本では、介護は家族機能のなかで担うことが当然とされてきました。つまり、「いえ」制度の下、大家族で生活しており、家族機能によって介護を解決するのが一般的でありました。しかし、戦後、家族形態は変化し、かつてのような三世代世帯や拡大家族で生活する家族は減少し、核家族化していきました。
一方、高齢者の一人暮らしや夫婦のみの世帯の増加や親世代も子世代も高齢者の年齢になっている老老介護も増える高齢社会となりました。また、これまで家族介護を担っていた女性の社会進出の活発化や介護期間の長期化等の変化も家族介護を困難にさせてきました。 そのような要因により、老親に対する介護の意識も変わってきました。従来のような介護家族だけでは困難となり、社会的な介護の必要性が高まり、1980年代以降、高齢者に対する福祉サービスがふえていくなかで、介護の社会化が進んできました。
したがって、介護では家族の機能と社会の機能を区別することが重要になってきています。その点を踏まえて、現在は2000年4月以降は、介護保険制度が始められています。