ある人間関係において、他者が示す望ましくない行動や状態を終結させようとする努力が、その意図とは逆にあるいは無自覚な意図として、結果的にその他者に不都合や問題とされる行動や状態を継続させてしまうことがあります。この逆説的な人間関係パターンを演じる立場にあるもののことをイネイブラーと言います。
付けで飲み歩くアルコール依存症の夫の借金を肩代わりして一生懸命に勘定払いをして歩く妻など、その肩代わりあるいは世話焼き行為の動機となっている意図とは別に、結局同じ行為や状態を継続させ可能とさせてしまうのであります。つまり、依存症の分野では、望ましくない状態を継続するする意味で用いていますが、もう一方で、クライエントの潜在的能力を引き出す援助者の役割を意味する言葉としても長く用いられています。どちらの場合も、潜在的可能性を引きし継続することを意味しています。