この記事はこちらからの続きです。
今回は30代女性、深夜の長電話の相談です。「深夜に友人からかかってきて、1~2時間と続き、生活に支障が。切ろうとしてもなじられて、電話を切らせてくれない。どうしたらよいでしょう」
相手の迷惑を顧みず、おしゃべりを止めない、止められない状態というのは、躁うつ病の躁状態、ほかの病気での躁的状態を疑わせます。統合失調症や不安障害の重症なケースで、おしゃべりをし続けることがありますし、また甲状腺機能亢進症でも躁状態が出現する場合があります。また、境界性パーソナリティ障害で不安が強い時期に、このようになることもあります。
今回の場合、相手の方をいきなり受診させるのは難しいでしょうから。「その人の電話には出ない」というのが適切な方法の一つでしょう。なかなか電話を切らせてくれないということですが、「もう遅いし、眠らないといけないので、悪いけど切りますね」と常識的な対応をして切ってください。深刻な話でも同様です。相手がすでに受診されている場合、「私には難しいから、担当の先生に相談してね」と言ってあげて下さい。
相手が話し続けて入れないときは? 重ねてしゃべって大丈夫です。その相手の方が怒ってしまっても、躁うつ病の躁状態や統合失調症の躁的状態、境界性パーソナリティ障害の不安が非常に強い場合、関係が多少まずくなっても、相手に話を止めさせて眠らせてあげることが大切です。話をずっと聞くより、話をしない環境を作ってあげる方がいいこともあります。
また、相談者の家族まで不愉快にさせるようなことがあってはさらに良くありません。「彼女とはもう付き合うな」となっては、電話の彼女は人間関係を一つ失ってしまいます。心の病気の症状のために社会的な活動の場が狭まってしまうきっかけを作らないためにも、相談者が電話を切ってあげてください。
まとわりつく人たち (2)
ハートクリニック院長 浅井逸郎
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