違法あるいは不当に行われる行政活動に対し、行政機関に対して不服を申し立て、行政機関が審理を行いこれに基づいて判断を下し紛争を解決することによって国民の権利利益を図る制度を規定した法律です。
1962年に成立し、行政事件訴訟法と同時に施行されました。その目的は、国民の権利利益の救済を図るとともに行政の適正な運営を確保する点にあります。行政訴訟の審判機関が裁判所であるのに対し、行政不服申し立ては行政機関であります。しかし、苦情処理とは形式性、拘束力において異なり、救済方法としての特色としては、不服審査において審査庁は違法な処分のほか、不当な処分についても取り消しを行うことが認められています。不服申し立て資格について同法は、「行政上の処分に不服があるもの」および「不作為にかかる処分その他の行為を申請したもの」と定めていますが、判例では取消訴訟の原告適格と同義(「法律上保護された利益」がある者)であると解しています。
戦前は取消訴訟に先立って不服申し立てを起訴とする不服申し立て前置主義がとられていたが、廃止され自由選択になりました。しかし、個人の法律に基づいて不服前置が義務づけられているもの、例えば税務行政上の行政処分などもあります。処分を取り消す裁決があると遡及的に効力を失います。処分庁がこの裁判の取消訴訟を起訴することはできません。