こころの健康アラカルト

依存症について (2)

この記事は、こちらからの続きです。
前回は昨今の依存症事情についてのご質問に対するお話でしたが、今回はその他の、人に対する依存についてお話します。
まず、多くの人が勘違いしているのは、人への依存で治療が必要な方はわずかだということです。
「誰々に依存している」なんて世間では悪いようなニュアンスでとらえられていますが、人間が社会生活を営むのに人に頼ることはきわめて正常なことであり「助け合い」と呼べるでしょう。むしろ上手に人に頼れない場合にアルコールやタバコなど物質への依存度が高まり、治療が必要なほどの依存症になるケースが多くなります。気持の平静を保つという意味でも「人に依存する」のは健康的なことだと言えます。
しかし、なかには夕飯の献立や宿題をやるかどうかまで、親や旦那さんなど第三者に決めてもらわなければ行動できない「依存性パーソナリティ障害」の人も存在し、この場合、依存している人も、依存されている人も対象に、長期に渡り治療が必要になります。ただしうつ病や統合失調症などで一時的に判断能力が低下している場合もあり、必ずしも依存症とは限りません。
まずは専門科と話し合い症状を確定し、それぞれに合った適切な治療を行う必要があります。「人に依存しすぎている」と不安の人も一度カウンセリングを受けるのをおすすめします。

ハートクリニック院長 浅井逸郎

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