看護師便り

風疹の予防接種を受けましょう

暑い日が続きますね。皆様、いかがお過ごしですか?

今日は「風疹」についてお話ししたいと思います。

風疹は、風疹ウイルスによって引き起こされる感染症で、発熱・発疹・リンパ節腫脹等が主な症状です。妊娠初期の女性が感染すると、胎児に先天性風疹症候群(CRS)を起こすリスクが高まります。これにより、胎児に聴覚障害、心疾患、視覚障害等が生じる可能性があるため、風疹の流行は公衆衛生上の重大な課題です。

2018年、日本国内で風疹の大流行がありました。この流行は、主にワクチンを受けていない30代~50代の男性を中心に広がりました。当時、風疹の定期予防接種が女子生徒にのみ行われていたため、十分な免疫が得られていない人が多かったことが背景にあります。

このような状況を受けて、政府は風疹の感染拡大を防ぐためにいくつかの対策を実施しました。

  1. 予防接種の推奨 政府は風疹の予防接種を強く推奨しました。特に、妊娠を強く希望する女性、そのパートナー、風疹の抗体を持っていない人に対してワクチン接種が推奨されました。また、風疹に対する免疫が不十分な世代である30代~50代の男性に対して、無料で風疹抗体検査と予防接種を行うキャンペーンを実施しました。抗体検査で免疫が確認されなかった場合にはワクチンの無料接種を推奨しました。
  2. クーポン配布 2019年4月からは、全国の自治体を通して、1972年4月2日から1979年4月1日生まれの男性に対して風疹抗体検査と予防接種が無料で受けられるクーポン券が配布されました。
  3. 妊婦への配慮 妊娠中の女性が風疹に感染すると、胎児に先天性風疹症候群(CRS)を引き起こす危険性があるため、妊娠を計画している人やその周囲の家族にも風疹ワクチン接種が推奨されました。
  4. 予防接種記録のデジタル化 予防接種の記録を効率的に管理するため、の取り組みも行われました。特に、風疹やその他の感染症ワクチン接種歴を確認するためのデジタルシステムが導入され、接種を受けたかどうかを簡単に確認できる仕組みが整備されました。

政府の政策により、2019年からは風疹の感染者が減少傾向を見せ始めました。特に、抗体検査と予防接種キャンペーンで多くの男性が風疹ワクチンを受けるようになり、2020年以降風疹の報告件数は劇的に減少しています。

しかしながら、完全な根絶には至っておらず、引き続き風疹対策の継続が求められています。今後風疹の流行を抑えるためにも予防接種が欠かせません。特に風疹の免疫が不十分な世代の男性に対する接種率をさらに高めること、妊婦とその家族への啓発活動が重要です。

風疹の予防接種を受けられなかった男性に対する無料接種は、2025年3月末までとなっています。1972年4月2日から1979年4月1日までに生まれた男性が対象ですので、ぜひ予防接種を受けていただきたいと思います。

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