「バーンアウトシンドローム」は、それまで意欲を持って一つの事に没頭していた人が、あたかも燃え尽きたかのように意欲を失くし、社会的に適応できなくなってしまう状態の事を言います。絶え間ないストレスにより発症し、うつ病の一種とも考えられています。朝起きられない、職場に行きたくない、アルコールの量が増える、イライラが募るなどの症状がみられ、仕事が手につかなくなり、対人関係を避けるようになります。病気に対する抵抗力も低下し、人生に対しても悲観的になることから、家庭生活の崩壊や、最悪の場合自殺や過労死に至ることもあります。 「バーンアウトシンドローム」は、精神心理学者ハーバード・フロイデンバーガーが1974年に初めて用いた造語で、日本語では「燃え尽き症候群」とも呼ばれます。その後、社会心理学者クリスティーナ・マスラークが「情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成間の低下」から重症度をMBI(Maslach Burnout Inoventory)を用いて判定します。
「情緒的消耗感」
情緒的消耗感とは、「仕事を通じて、情緒的に出し尽くし、消耗してしまった状態」と定義されています。消耗感あるいは、疲労感はストレスの一般的な自覚症状であるが、単に、消耗感ではなく、「情緒的」という限定が付いているのは、この消耗の主たる源が「情緒的な資源の枯渇」にあると考えられているからです。3つの下位尺度のうちこの「情緒的消耗感」をバーンアウトの主症状である考えられています。つまり、バーンアウトとは、仕事の上で日々過大な情緒的資源を要求された結果生じる情緒的消耗感であり、他の2つの下位尺度は、この「枯渇状態」の副次的な結果であります。
「脱人格化」
脱人格化とは、「クライエントに対する無情で、非人間的な対応」と定義されています。脱人格化とは、クライエントの症状名や特徴など没個性的なラベルをつけ、個人名で呼ばない行動等のクライエントそれぞれの人格を無視した、思いやりのない紋切り型の対応を意味します。また、書類の整理など事務的な仕事に終始し、それに生きがいを感じる、又は、クライエントが視界できないような難解な専門用語を振りかざしたりする行為もクライエントとの煩わしい接触を避けるためだとすれば、脱人格化のあらわれだと言えます。
「個人的達成感の低下」
個人的達成感とは、「ヒューマンサービスの職務に関わる有能感、達成感」と定義されています。成果の急激な落ち込みと、それに伴う有能感、達成感の低下は、離職や強い自己否定などの行動と結び付くことも少なくありません。