かつて医学用語で「ヒステリー」と分類されていた「解離性障害」についてお話ししましょう。
どのような症状なのかというと、一般的に知られている感情的な「ヒステリー」とは異なります。声が出せなくなったり介助なしに動けなくなるなどの運動機能に障害を起こす「解離性運動障害」や過去のことを部分的や長期的に忘れてしまう「解離性健忘症」、健忘を伴いながら放浪する「解離性遁(とん)走」、自分が自分でないような感覚をもったり、現実感がなくなる「離人症」などがあります。いくつか合併して表れる場合が多いようです。 原因といえば、以前はストレスが原因とされていましたが、例外もあると考えられています。体に器質的な問題はなく、心と体のコントロールが切り離されたようにうまく動かなくなる心の病です。
治療方法は、プレッシャーを感じているなら、本人へのストレスが軽くなるよう環境調整を行います。さらに、薬物療法や行動療法で心理的なケアを施します。解離性障害は症状のバリエーションが多く、発症からの経過年数が増えると治りにくくなる可能性があります。
本人だけでなく周囲の人も様子に異常を感じたら、早めに専門医に相談をしてください。
ハートクリニック院長 浅井逸郎
コメント