横浜院長の柏です。2009年4月の当院開院以来副院長としてご勤務いただいたN先生が、3月上旬をもって当院を離れることとなりました。女性ならではの丁寧な診療で、多くの患者さんを助けていただきました。先生の今後の活躍を祈念するとともに、今後の診療水準を落とさぬよう医師一同しっかり診療を行っていく所存です。今後とも当院をよろしくお願いいたします。
さて、コロナ禍が始まってから早くもまる2年が経ちますね。新しい生活様式が一般的となり、テレワークやweb授業も市民権を得ています。その中でもとくに象徴的なのは、やはりマスクを付ける習慣でしょう。もう忘れてしまっていそうですが、かつてはみんなマスクをしないで会話し、街を歩いていたんですよね。そんな時代、身を守るためにマスクをつかっている方の話をNo.205で書きました。その後コロナの時代となり、わが国と西欧とのマスクについての考え方の違いについて、マスク談義としてNo.325で述べさせていただきました。目を重要なコミュニケーションの手段として使う日本人と、主に口周囲の動きや言語でコミュニケーションをはかる欧米人の違いがマスクへの抵抗感の大小で現れ、感染者数の違いとして現れていること(つまりはファクターX)などについてお話しました。
そして今日。そうした基本的なマスクへの抵抗感から、まだこれだけの感染者数、死者数があるにも関わらずマスク撤廃に動く欧米諸国。一方で、マスクが日常的風景に溶け込み、さらには顔そのものに溶け込む…顔と一体化する…方向へ動いている日本。このタイミングで、マスクについてもう一度考えてみたいと思います。
学校でも職場でも、この2年以内にはじめて同じクラス、同じ部署になった人では、マスクをはずした素顔を見たことがない、という人がたくさんいますよね。われわれ精神科医も、この2年以内に新患でいらした方についてはマスクの下の素顔は見ていないわけです。なんとなく勝手に顔を想像しながらお話しているわけですが、たまに何かの加減で診察室で短時間マスクをはずされると、あれっ想像とちゃうわい、ということがままあるわけです。
長年の習慣として「マスクつきの顔」の方とおつきあいしているとそれがデフォルトになってしまうわけでして、診察室のみならず教室でも職場でも、じゃあマスクを外しましょう、となっても今度はそこに抵抗が生まれることがあるんじゃないですかね。
No.205でご紹介したマスクを外せない方は醜形恐怖の方でしたが、下手をすると1億総醜形恐怖になる可能性もあるような(あるいは、インスタ大好き自己顕示型人間とマスク人間に二分される?)気もいたします。
欧米人は家の中でも靴を履いて過ごします(最近は日本流で家では脱ぐ習慣もあるようですが)。われわれ日本人から見るとなんだかな〜、と感じるわけですが、彼らからすると、人前で靴を履いていないのは服を着ていないのと同じ感覚であり、大変恥ずかしいことのようです。同じように、マスクをしていないのが服を着ていないくらい恥ずかしいことになる日が来る、あるいはすでに来ているのかも知れませんね。テレワークでは感染リスクが抑えられるので、自宅からなどではマスクをしないことも多いでしょう。なので画面越しのみマスクなしの顔を知っているということはあるかも知れませんが、いかんせん画面越しではやはりコンタクトの限界があります。いずれ8K+メタバースの世界になればリアルなマスクなしコンタクトが実現するかも知れませんが、メタバースではむしろアバターなどさらにリアルから遠ざかる方向にあります。
今後、マスクを外しての精神科診療に戻る時が来るのか、あるいは今の状態が続くのか、さらにはオンライン診療がデフォルトとなり、さらにはアバター同士での診療が成り立つ時代が来るのか。こうした時代の変化の中、人と人とのコミュニケーションのあり方はどう変化していくのか。その中で人のこころはどう変化し、精神科医療にどう影響するのか。時代の変化に敏感であり、ニーズに合わせた治療をどう行っていくのか。精神科医としてもいろいろ考えさせられますね。
閑話休題、スパイダーマンの新作映画を見てきました。ホーム・シリーズ完結編に相応しい出来栄えで、私の好きなオクタビアヌスもいい役どころでした。ところで、皆さんは日本の特撮でもスパイダーマンがあったのをご存知ですか?もちろんマーベルとの契約下ですが、1978年に放映されたこの特撮、巨大ロボ・レオパルドンまで登場するというすごい展開なんです。しかしなんといってもこの番組では、天本英世と並ぶ特撮界悪役の名優、安藤三男演ずるモンスター教授の存在感がすごいのです。
マーベル生まれの人気者、スパイダーマン に「しゃらくさい小僧め!」と言えるのは、東映版のモンスター教授くらいであろう。名優・安藤三男の江戸っ子口調が冴え渡る。 pic.twitter.com/V13O5or8N0
— おchogoさん (@chogo2009) November 13, 2019
安藤三男といえば、ジャイアントロボのドクトル・オーヴァにはじまりプロフェッサー・ギル、ガイゼル総統に軍師レイダー…彼がいなかったら日本の特撮の魅力は半減だったでしょうね。今日の一曲はそのスパイダーマン、テレビ版オープニングをどうぞ。作曲は渡辺宙明御大、オープニングから渡辺節炸裂です。ではまた。
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