高次脳機能障害が原因で起こる心の病についてお話ししましょう。
高次脳機能障害とは、交通事故などの頭部外傷に伴って、脳の中でも比較的高度な認知機能に障害がある場合をいいます。主にリハビリテーション科で治療を行います。
心療内科などを受診する場合は、認知機能の障害により物忘れが目立ったり集中力維持が困難になり、「同じことを何度も繰り返し言ったり聞いたりする」「約束が守れない」など認知症と似たような症状が見られます。それらが高次脳機能障害が原因と理解されず、対人関係や家族間での葛藤が起きるケースもあり、適応障害や不安障害を合併することがあります。不安感、動悸、眠れない、落ち込み、イライラするなどの症状がある場合は早めに相談してください。
治療法は、それぞれの合併症に合った治療を行い、症状を緩和します。また、本人や家族の理解が必要なため、カウンセリングによる環境調整を行う場合もあります。慢性的な障害ですが、ケースバイケースで適切な対応を考えていくことで、障害に伴う問題を小さくしていくことが期待できます 。
ハートクリニック院長 浅井逸郎
コメント