横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.326 ベーシックインカム

横浜院長の柏です。新型コロナで国は大規模な予算出動をしていますね。その前から大借金を抱えた国家財政でこんなことをしたら、死ね死ね団よろしくハイパーインフレ一直線のはずなのですが、いかんせん世界中の国々が同じことしているわけでして、さあこの先どうなるんでしょうね。特別給付金の10万円が配られていますが、貧困問題が深刻なスペインではどうやらベーシックインカム(BI)制度導入らしき政策が取られるようです。BI制度とは、生活していくための最低限のお金を国家が国民に配る制度のことです。日本では生活保護制度がこれにあたりますが、申請のハードルが高い、かつ受けないことを美徳とする風潮がある、などして万人向けの制度とはなっておらず、先進国にはありえない貧困率の高さの一端となっているわけです。精神科医療においては障害年金というシステムがあるわけですが、これはありがたい制度である一方で、医師からみるとなかなか運用が難しい制度であります。といいますのも、障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級〜3級まであるものの要は「取れるか取れないか」となっていて、取れれば継続的に年金が支給されるが、該当しないと1円ももらえないというAll or Nothingなのです。現実は、病気が原因で仕事に支障が出ることは普通にあることだけど、年金の基準を満たす人は厳密に評価すると一定数に限られてしまうのです。本来はより連続的に足りない分を補填するような仕組みが望ましいわけで、それは取りも直さずBI制度ではないかと私は思うわけです。
障害年金についてもう少し書きますと(このあたりきわどい内容になってくるので、誰かに怒られないといいなと(^_^;;)、認定基準が開示されており、これが平均3点以上なら年金2級以上相当、それ以下だとそれ以外の状況次第となっています。この採点を医師が行うのですが、医師は基本的に診察室で得た情報を元に、家や職場での生活状況を判断して書くため、どうしてもばらつきが生じると思いますし、本人や家族の言を信じるしかないところがあります。年金1級をお持ちで、前の医者の診断書を見ると全部5点ついているが、普通に一人で電車を使って来院されている方とかもあり、そうなるとこちらもうーーん、と考えてしまうわけです。介護保険などでは医師意見書を参考に市職員が訪問して評価するわけですが、障害年金も医師が意見をするのはいいとして、最終的な評価は専門官が行うシステムが必要でないかと強く思います。自治体レベルでも、これまでどうやら西日本のほうが評価が甘い傾向があったようで(あるいは医師が重く書く傾向があったのか?)西日本の方が年金受給率が高かったようなのです。それではまずいだろうと、それまでは各都道府県で審査をしていたものを、数年前から東京での審査に一本化されました。それによって地区によってはこれまでよりも等級が下がったり、認定されなくなったりする方が出てくるという問題があったようです。神奈川県は元々厳し目だったのか、この変更でこれまで通っていた人が通らなくなることは、私個人としては経験しておりません。しかし、先にもふれましたが医師による評価のばらつきの問題は今でも残っています。ビシッと3点つけましょう!みたいなことをおっしゃる方もあるのですが、私は自分が見たまましか書けませんので、もしかしたらビシッと3点つける医師よりも評価が厳しいかも知れません。そこはご了解いただきたいと思います。
年金にしても生活保護にしても、こうした悩みをなくすためにわが国もBI制度を導入し、みなが経済的不安を最小化して暮らせる社会となってほしい、と強く感じております。
ただ、当然ながらBI制度を導入するにはその種銭をどうするのかという問題に行き着きます。そうなるとアメリカをはじめとする現代資本主義の抱える大きな問題の領域となり、現在のBlack Lives Matter問題にも直結する貧富の差、貧困と差別の問題に至りますが、ここで扱うにはテーマが大きすぎますね。
基本的には、世界人口に対して十分な「富」の量があり、公平な配分手段があればよいわけです。公平な、という意味は、一番配分が少ない人でも貧困に陥らず、(現地の基準に照らして)安全で文化的な最低限の生活が営めるということです。世界人口に対して十分で安定した食料供給能力、各産業の生産性、疾病対応能力などが問われるところでしょう。
自国第一主義、覇権主義などが幅を利かせる現代においてこれはなかなかの難題ですが、富の最大化に最も貢献しうるのはAIとロボットではないでしょうか。昨今、AI/ロボットが発展すると仕事を奪われる、と心配されるわけですが、そうではなくて人間が働かなくてもよくなることが本来のAI/ロボットの役割でしょう。将来、あらゆる産業がAI/ロボットにより最適化され、人間はあくせく働かなくともその恩恵を享受できる時代が来る…仮面ライダーゼロワンのヒューマギアのように…というのは希望的観測に過ぎるでしょうか。メカ好きのわが家では掃除はルンバ・ブラーバが行い、食後は食器洗い機が活躍。結婚当初には考えられなかったけど、今では欠かせない家事のパートナーです。英文を書くにも、今ではGoogle翻訳DeepL翻訳がかなりの精度で作業を代わってくれます。シンギュラリティが来る前であっても、十分に人間の知的作業、肉体労働をAI/ロボットが取って代わるようになっていくでしょう。AI/ロボットが労働を担うようになった時、人間にはどんな生活が待っているのでしょうか。ディズニー映画WALL-E(ウォーリー)では、AI/ロボットに完全管理された宇宙船の中で、歩くことすらせず皆肥満体でエンタメに興じる毎日を過ごす未来人が描かれていましたが、それはちょっと悲しい未来ですね。歌と蹴鞠に興じた平安貴族、狩猟に明け暮れたフランス王朝と、いずれもその後没落の道をたどっているわけですが、理性あるリーダーがAIを駆使して人類の生活の最適化を実現し、BI制度が導入されることによりどんな人種の人でも、そして障害者も含め、みんなが幸福な生活を送る…そんな未来を夢見る今日このごろです(それにはNo.165でお話したような「利他」の精神が必要ですよねぇ)。
給付金もアベノマスクもなかなか届かない、保健所はデータをFAXで送っている・・・今回のコロナ騒動で、わが国がIT後進国であることが一目瞭然となりました。プライバシーも大事ですが、このままではせっかくのIT技術を享受できないままとなり、いずれくるAI/ロボット社会でも遅れを取ってしまいます。抜本的なマインドチェンジが必要と思います。まずはFAXと印鑑を3ヶ月後に撤廃します、と国が言うくらいになってほしいなぁ。
さて、ロボットといえばアニメに特撮。そして、史上最高のロボットアニメは誰がなんと言おうとマジンガーZです。異論は認めない(笑)。ロケットパンチ→アイアンカッター、そしてジェットスクランダーで空を飛ぶとか、メカの進化でヒーローが強くなっていくお決まりのパターンの「はしり」ではないでしょうかね。ワクワクして見ていたのを昨日のことのように思い出しますね。私の推しの悪役もドクターヘルにあしゅら男爵、ブロッケン伯爵と精神科医的にも気になる魅力的なラインナップ。ご存じの方はご存じ、私のプライベートメアドは20年以上前からずっと、ドクターヘルをもじったものを使い続けているのです(^_^)。
この作品も先週ご紹介した特撮アニメ黄金期、1972年放映でした。音楽は渡辺宙明。大正14年生まれ、今年御年94歳とのことです。東京大学文学部心理学科卒ということでして、そういえばすぎやまこういち(89歳)も東京大学教育学部教育心理学科卒なんですな。当時の東大生すごいわ。渡辺宙明といえば特撮ファンにはキカイダー、イナズマンにはじまり戦隊シリーズ、宇宙刑事シリーズともう「神」と呼ぶべき存在ですが、とくにこの1972年は特撮ではキカイダー、アニメではマジンガーZという、挿入歌までずらり名曲揃いの2大傑作を生み出しており、作曲家としても油が乗りまくった一年だったのではないでしょうか。キカイダーでは以前ご紹介したぼくらのキカイダーハカイダーの歌のほかにも三郎のテーマなどなど、OP, ED以外にも素晴らしい挿入歌がたくさんありました。今日の一曲はマジンガーZからですが、こちらも誰でも知ってるOPではなく、挿入歌「Zのテーマ」にしましょう。登場〜戦闘シーンでいつもかかっていた曲なので、同年代の皆さんはご存知のはずです。「人の命は尽きるとも 不滅の力マジンガーZ」「人の頭脳を加えた時に」ロボットと人間の関係性にふれた(今回のテーマにもぴったりですね)小池一雄の歌詞も最高で、渡辺宙明の哀愁あふれた曲調、水木一郎の歌唱ともう言うことなしです。ぜひ歌詞を噛みしめてお聞きください。


そしてもう一つ、こちらはオーケストラ版です。どこの国かもわからない(コメントはスペイン語で埋め尽くされている)オケですが、素晴らしい!マジンガーZ熱は、地球の裏側でも実に熱いようです。ではまた!

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