横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.303 ゆっくりと

hitorigoto-303.jpg横浜院長の柏です。明日はハロウィン…例年通り仮装決行いたしますので、来院者の方々にはご迷惑を(?)おかけいたします。よろしくご理解のほど、お願いいたします(通院は、肩の力を抜いてどうぞ!)。
前回ここでもお知らせしましたNHKの発達障害特集、ここまでなかなかの出来栄えで進んでいますね。NHKはぶっ潰しちゃいかんでしょう(笑)。とくに本田秀夫先生の「プロフェッショナル」はよかった。研修医のあとは別々の道を歩んでいますので、このように彼の流儀を見るのは私にとってもとても新鮮なことでした。ゆっくりと、ゆっくりと、発達障害を抱えた子どもの成長を暖かく見守る彼の視線。同じ患者さんと30年以上つきあいながら編み出した彼なりの流儀。誰にでもできることではありませんが、大変勉強になりました。発達障害は、発達の遅れ。それは、子どもだけではなく大人でも同じことです。子どもだけではなく、大人もまだまだ成長できます。私も、ともすると急いでしまっていた時があったかも知れませんね。改めてゆっくりと、ゆっくりと皆さんとつきあっていきたい、と心に感じました。発達障害を障害として否定するのではなく、特性としてうまくつきあっていく。長所を伸ばし、ポジティブに考えていく。このあたりは私も日頃考えていることですが、きわめて本質的なことだと思います。
このポジティブを妨げる大きなものに、トラウマがあります。私の外来にいらっしゃる発達障害の方々の中にも、「なんでそんなに楽観的なの?」という底抜けにポジティブな人から、ぐるぐると同じところから抜け出せないネガティブな人まで、いろいろな方がいらっしゃいます。No.182でもお話したように、単純にポジティブならいいというわけではありませんが、あまりにネガティブが過ぎると生活をうまく進めていくことができなくなってしまいます。
どうも発達障害の方の中には、記憶のしまわれ方が違うのかいやな記憶が残りやすい方がいて、しかもその場面が動画のようにありありと出てくるフラッシュバックの形を取ることが多いのです。これはタイムスリップ現象と呼ばれ、突然過去のトラウマ体験のところに「タイムスリップ」してしまい、その時の苦痛が再現されてしまいます。このフラッシュバック、タイムスリップの治療はなかなか難しいものなのですが、先週末名古屋で行われた第7回成人発達障害支援学会ではメインテーマのひとつがここに置かれており、ワタクシ的には極めてタイムリーなものでした。トラウマ、フラッシュバック、タイムスリップについては、次回以降またここでご紹介したいと考えております。ところで本田先生の番組、私もチラッと映っていたんですが皆さんわかりましたか (^_^;;。
さて、先週は吾妻ひでお先生でしたが、今週は女優の八千草薫さんが鬼籍に入られました。品のある美人、という言葉が一番似合う方で大好きでしたね。彼女の出演したドラマの中でも、私の記憶にテーマソングとともに残っているのが「阿修羅のごとく」。私が高校生の頃のドラマですが、その強烈な印象を与えるテーマソングは、”Ceddin Deden”といい、オスマン・トルコ帝国の軍楽隊の曲だそうです。現在も中東難民問題、クルド人問題と東西世界の間で注目されるトルコの音楽、心してお聞きくださいませ。ではまた。

コメント

  1. 音楽大好き より:

    柏先生、こんばんは。高知で勤務している音楽大好きです。本田先生の患者さんを見守る時間の大きさに目がくらみました。私自身が近視眼にならないよう気をつけたいと思いました。
    柏先生のお写真はもしかして、加藤忠史先生、本田先生、柏先生の疾風怒濤時代のお写真ではありませんか?ぴーんときました。当たっていたら教えてください。
    NHKドラマの阿修羅のごとく、よかったです。けものみちもしびれました。こちらは禿山の一夜が使われていたと記憶しております。
    いつも楽しいブログをありがとうございます!

  2. ultima より:

    柏先生 お疲れさまです。
    突然ですが 前回受診以降 なぜか全身が痛いです…
    新部署に配属されて数ヶ月ゆえ、緊張と疲労のピークが来ちゃったのかな?と上司に言われました。私の場合 別要素もありそうと思いつつ、答えの出ないまま結局1週間 出勤不能でした…頭頂部と後頭部、首 肩 腕 肘 背中 腰 臀部 膝 各所に謎の激痛、
    DisneyのFantasiaに禿げ山の一夜ありますが、あの悪魔の雷が私を貫きます。
    トルコの怪しいminor感も ♪ゲゲゲのゲ~も、♪俺達ゃ妖~怪~の♭も好きなんですが今日はうちひしがれます…

  3. 横浜院長 より:

    音楽大好きさん
    いつもコメントありがとうございます。また、名古屋の学会の節はお世話になりました。
    写真の件ピンポンです。3人で映っている写真が出てきましたです。
    けものみち。松本清張ですね。こちらも懐かしいですねぇ。

  4. 横浜院長 より:

    ultimaさん
    ちょっと疲れが出ましたかね。症状は気分だけでなく、痛みなど身体に出ることもあります。次回の診察で検討しましょう。

  5. いちご大福 より:

    先生。こちらではお久しぶりです。
    ハロウィン、私は仕事で「そういえばハロウィンっていつでしたっけ?」と聞いたら「今日ですよ?!」と教えてもらってビックリしました。曜日の感覚も季節感もないとはこのことですね。苦笑
    そんな私は学生終えてからどことなく時が止まってるようでもう立派なおばさんなのにというギャップを感じてます。大人になるってこういうことなのかなぁと思ったり…内心はすごい幼稚なのですが…
    あと、柏先生が発達障害にお詳しいのをいつもブログを拝見して感じていますが以前代診の女性の先生から松本先生を尊敬しているのであれば公演に行ってみてもいいのでは?とアドバイス頂いたのですが賛成していただけますか?
    診察室ではなかなかこのことを言えなかったもので…
    脱線してすみません(>_<)
    ここ最近色々あったのでまた受診の際報告いたします。
    コメント頻度は下がりましたがいつも楽しく読ませていただいてます。(^ ^)

  6. 横浜院長 より:

    いちご大福さん
    コメントありがとうございます。
    曜日はともかく、季節感はきちんともっておきたいところ。
    朝起きたらゴミ出しでも、新聞取りでもいいから外に出てみましょう。日の高さを見て、外気の気温を毎日感じること。昼間外に出たときは、道端の花や鳥、虫などにも注意を払ってみましょう。街のそこここに季節は生きているものです。
    松本先生に限らず、講演などあればどんどん行ってみてはいかがですか?
    別に怒ったりもう診ないなんていいませんよ(^_^;;;
    そこで持ち帰ったものを話していただければ、治療の役にたつこともあると思いますよ。