横浜院長の柏です。気温が急に下がり、体調を崩されている方も多いようです。皆さんお気をつけください。昨年もこの時期にあったのですが、今年もまたNHKで発達障害の大特集があります。来週10月28日(月)からおよそ一週間で約20番組を集中放送するとのこと。ぜひご覧いただければと思い、今回のブログで告知させていただくこととしました。番組一覧はこちらで確認できます。
日本精神神経学会では、「神経発達症」あるいは「発達症」という用語を使うことを推奨していますが、天下のNHKが「発達障害」という用語を使っている限りはなかなか用語の転換が進まない気がいたします。このあたり、どちらが良いかというのは私の中でも微妙なところであります。「障害」という言葉をはずす、という意味は、これはあくまでも「特性」であって「病気」や「障害」ではない、とすることと思われます。これは障害者差別・スティグマの問題を考えると大切な視点ではあるのですが、実際にはこの特性のために生活や仕事、学業に多大な支障をきたしている方がたくさんいらっしゃる。その観点からは、私としては「発達障害」でよいのではないか、障害として支援をきちんと考えるべきではないか、と基本的には考えていますが、なかなか難しい問題です。「障害」という言葉については、「害」を回避して「障碍」や「障がい」を用いる方もありますが、私自身は悩みながらも今のところは「障害」のまま使うことにしております。
さて、今年の特集の白眉は29日(火)夜10時半からの「プロフェッショナル 仕事の流儀」でしょう。今回のプロフェッショナルは、児童精神科医の本田秀夫先生です。この領域はホットなのか、昨年の友田明美先生に続いての登場となります。本田先生については、No.273などでもご紹介しましたね。現在は信州大教授ですが、20年ほどわれらが横浜市の総合リハビリテーションセンターの発達精神科で診療にあたっていました(今も定期的にいらしているようです)。リハセンにて同じ方を子供の頃から大人になるまで連続して診る経験を多くされており、わが国の発達障害医療では第一人者といえる先生です。実は彼とは大学の同期なのですが、さらには私達のいた東京大学理科三類(医学部医学科進学コース)は入学後、最初の2年間を駒場キャンパスで過ごすのですが、この時は理科二類と一緒でクラス分けが行われ、各クラスに理三からは8名ほど、あとは理二で全部で40人くらいで一クラスとして教養部の授業が行われます。進路振り分けもあるのでまじめに勉強している理二の皆さんと違い、理三はみんな学校に来ないので(雀荘に行けば会えた(^_^;;)、ドイツ語の授業など順番にあてていく授業では、理二の最後までいくと先生がまた理二の最初に戻してしまうので「すみませんいまーす(汗)」と声をかける必要があった、というのも懐かしい思い出ですね(笑)。本田先生とはこの時の昭和57年入学理二三7組の時から一緒なので、医学科同級生の中でもとくに長く、もう37年半のつきあいとなります。
彼は決して、研修医の頃から児童精神科医を目指したわけではありませんでした。研修終了後、当時の国立精神神経センター武蔵病院(現・NCNP病院)の病棟で統合失調症患者を診察しているうちに、「これは実は発達障害なのではないか?」と見える患者さん達に出会ったことが今の彼の出発点なのだと思います(当時、私も同じキャンパスの神経研究所におりました)。彼と、彼の師匠の斎藤治先生(現・立川パークサイドクリニック院長)のそうした慧眼があり、そしてまたリハセンでのもうひとりの師匠・清水康夫先生との出会いがあり、今日の彼があるのでしょう。私自身が発達障害診療に関わるようになったのは当院に着任してからですが、それでももう10年が経ちます。私自身も学生時代、研修医時代に斎藤先生、清水先生の教えを受けたことが今生かされているのを感じます。本田先生には、今でも困ったときには助けを乞うており、また患者さんあるいはその家族をご紹介いただく関係が続いています。同級生(昭和最後の卒業生)には、ほかにわが国の双極性障害の第一人者、加藤忠史先生もいます。よき同級生に恵まれ、私は今後も横浜の地で地域医療に専念して参ります。
さらには特集のうち「きょうの健康」では、こちらも日頃お世話になっている大学の先輩、岩波明先生によるADHD, ASDのお話もあるようです。楽しみな一週間、皆さんもお見逃しないように。
承前 #ななこSOS #吾妻ひでお #国際映画社 ドクター石川とオシャマンベ(長万部)による”宇宙豆”争奪戦に巻き込まれた、ななこ。自称・天才少年科学者の四谷が駆けつけ「豆を渡すな」と助言する。 pic.twitter.com/IrnRSKxpzr
— バロン座談会実行委員会 (@RbaronMbaron) May 23, 2017
さて、漫画家の吾妻ひでお先生が亡くなられました。吾妻先生といえばアルコール依存症での入院、うつ病(双極性障害か?)、遁走と、赤塚不二夫先生の上を行く波乱万丈な人生を歩まれた方ですが、一見ロリコン路線に見えるその作品には天才的閃きが随所に見られ、精神科医の目からも大変興味深い先生でした。アニメ作品として「ななこSOS」(セブンイレブンとは関係ありません)と「コロコロポロン」がありますが、個人的にはマッドサイエンティスト2名(四谷、ドクター石川)、世界征服を狙う長万部(おしゃまんべ)と合わせて3名もワタクシ好みのキャラが出てくる「ななこSOS」推しなのですが、今日の一曲としてはタイムボカンシリーズでおなじみ山本正之先生が曲を担当している「コロコロポロン」のほうを、独断と偏見で採択したいと思います。本当は「ななこSOS」で流れていたおしゃまんべの歌(おっしゃまんべーおしゃまんべー、熊を背中におしゃ、まんべー、とうきび美味し〜い)があればよかったんですが見つからず!
うわーまたごく一部の人にしかわからん話になってしもた(笑)。ではまた。
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