横浜院長の柏です。先週は失礼しました。文科省で天下り問題が騒がれておりますが、元・文科省学術調査官としては心中複雑です。日本の官僚システムというのは、いろいろと批判はありますが素晴らしいものです。政治家がアホでも(失礼)この国が動いているのは、彼らの日頃の勉強と努力のなせるところなのです。電通事件以来、長時間労働が批判される今日この頃ですが、彼らの労働量たるや凄まじいものです。特に課長補佐以下、ノンキャリア組を中心とする若手の仕事は本当にハードです。しかし、出世競争から最終的に事務次官まで上り詰めるのはただ一名。日本のために燃え尽きた官僚たちの受け皿として「天下り」がありました。もちろん、利益供与・誘導は許されるものではありませんが、「天下り」を認めないのであれば、そこをきちんとした形でセカンドキャリアパスを作ってあげることが必要です。彼らの努力は正当に評価されるべきだというのが、内部を知るものとしてのひとりごと、です。
さて、今日のテーマは「医療リテラシー」です。Wikipediaでは、「情報リテラシー」=「情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のこと」とあります。インターネットを中心に世の中にありとあふれる医療に関する情報をどう取捨選択して活用するか。患者さんにとっては喫緊のテーマですよね。しかし、ネット上の情報は論文のように査読チェックなどが入っているわけでもなく、内容が正確であるという保証はありません。DeNAの医療情報サイト問題も記憶に新しいところですね。ではググレカス(^_^;といいますので、とりあえずググってみましょうか。グーグル検索開始。とりあえず「うつ病」と入れてみます。
いきなり最初の2つは広告マークつき。1つ目はボディメイキング?ヨガ?うーん、少なくともうつ病へのエビデンスは聞いたことないなぁ。もう一つは絵本の広告ですか。はあ。
そのあとが検索順位順となりますが、1位と2位はなんと製薬会社ですね(汗)。一昔前とは違って、製薬会社もかなり良質の情報を出すようになってきています。がしかし、あくまでも販売促進という目的をはずれることはできません。そこは頭において目を通す必要があります。
次は何だ?「無料で出来るうつ病のチェックです。簡単な質問に答えるだけでうつ病の診断が出来ます」ってオイオイ。当院にも、「ネットでチェックしたらうつ病って出ました〜!」っていらっしゃる方が(ほかの病気も然り)来院されますが、結構違いますよ。こういうミスリーディングな記載はとっととやめてほしい。困ったもんです。
その次、上から4番目にやっと厚労省のサイトが出てきました。これが一番に来るべきじゃないですかね>ぐーぐる様。一般人や企業、民間医療機関(うちもだ)などのサイトは、利潤追求、注目されたいなど様々な要素が入り込むスキがあり、必ずしも正しくない(現代の医学水準に照らしてエビデンスが十分でない)情報が堂々と書いてある場合があります。それに対し、厚労省や大学、公的病院、研究施設などのサイトは記載内容に責任を伴いますので、それなりに信頼できる内容のことが多いものです(それでも正しくない場合もありますが、一般サイトよりはずっと安心です)。こちらのサイトに、検索条件を大学、政府、自治体などに限定する方法が書かれており、参考になるかと思います。
厚労省のあとはWikipedia、そのあとまた「専門家が監修した無料のうつ病チェックです。累計200万人以上が診断」ってミスリーディングやなぁ…。さらに2つはさんで、検索順位9番目に日本うつ病学会のHPがやっと出てきますね。ここは、病気の情報だけでなく、私もよく皆さんにお渡ししている睡眠覚醒リズム表、ソーシャルリズムメトリックなどのツールも充実しておりおすすめです。
しかし、学会の次は整体院だよ。いったい何のエビデンスがあるの?と声を大にして言いたいですね。
ついでにこんな検索もやってみますか。
「病院なび」に続いて2番めにうちが出てきますねー。万全のSEO対策(^^。が、最近はなかなか新患が混み合ってて申し訳ありません。現在通院中の方々の診療の質の確保のため、枠を絞らせていただいております。ご了解のほど、お願い申し上げます。
で、うちのサイトはhttp://www.heartclinic-yokohama.com/でして、.comは商用サイトであります。先に書いた通り、このブログの内容も含め、慎重に吟味されることをオススメいたしますですよ、はい。
では今日の一曲。前回に続きショパンです。No.143でお話した通り私の一押しはバラ1ですが、内容の深さで言うとこちらでしょうか。幻想曲ヘ短調作品49、今日はコルトーのピアノでどうぞ。
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