こころの健康アラカルト

性同一性障害とは?(2)

この記事はこちらからの続きです。
生物学的な性別に強い違和感を感じる「性同一障害」についての2回目です。
性同一性障害を自覚する時期はというと、幼いころには本人も周囲も分かりづらく、中学~高校生ぐらいに自覚することが多いです。自覚しても、十数年間それぞれの性別に基づいた教育がなされ、適応している場合がほとんどなので、別の性への急激な移行にはギャップがある場合があります。
治療法は社会生活上の男女の区別による心理的な苦痛を取り除くことが目的です。カウンセリングだけで生活上の適応を円滑にしていく治療のほか、ホルモン剤の投与や性転換手術を受ける場合もあります。ただ手術では全身の骨格まで変えることが難しいため、技術的に満足のいく結果が得られるとは限らず、安易に手術だけで問題が改善できると思い込むのは注意が必要です。
治療を行う場合は、社会的な偏見も大きく、心理的なケアが非常に重要です。また、不安障害やうつ病、境界性パーソナリティ障害などの合併症も多く見られます。治療には周囲の十分な理解と協力が必要であるため、家族にカウンセリングを行うこともあります。

ハートクリニック院長 浅井逸郎

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