こころの健康アラカルト

独り言が多いのは心の病のサイン?

最近、独り言が多いと気になる人も少なくないようです。
独り言といっても、断片的な言葉を周囲に聞こえない程度に言うものから、明確に誰かと話しているもの、さらに演説するようなものまでさまざまです。そのすべてが病気というわけではありません。とりわけ疲れているときや心理的な圧迫を受けたときに、自分の心の中にある考えが口をついて出てくる「語漏(ごろう)」は誰にでもあります。また高齢者になると抑制が効きにくくなるため、独り言が増える場合がありますが、特に心配はありません。
心配な独り言とは、独り言を聞かれることを恥ずかしいと思うなど、周囲への配慮ができなくなったときが心の病のサインです。電車などの公共の場で、誰もいないのに大声で相手がいるかのように話すといった「独語」は、興奮状態になると周囲が見えていないので、自分が奇異な行動をしているという意識がありません。
どのような背景疾患が考えられるのかというと、多いのは統合失調症と思われますが、脳腫瘍などによる脳器質性障害や、膠原(こうげん)病がある場合にも独語が認められます。気なる場合は相談を。

ハートクリニック院長 浅井逸郎

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