こころの健康アラカルト

号泣県議の心のうちについて

政務活動費についての疑惑を追及された兵庫県の県会議員が、記者会見で号泣して話題となりました。彼の言動の背景に心の病気などの可能性は考えられないでしょうか。
日本ではたとえ肉親の葬儀であっても、公の場で大声を上げたり取り乱すことを良しとしません。ですが同じ東アジアの中国や朝鮮の人々は、悲しい時には思い切り泣き叫ぶ姿が見られます。私たちが「号泣県議」の言動に奇異な印象を持つのは、まずこういった文化的背景があります。
また結果的にうまくはいきませんでしたが、単純に疑惑を「ごまかしたい」と思ったか、長時間の会見で記者からの執拗な質問に取り乱して泣き出したのだとすれば、正常な精神状態でも行動を十分に説明することができます。
ただ、このような過剰な感情表現をする人の背景には、やはり心の問題が隠れていることが多いのは事実です。特に大げさに喜んだり泣いたり叫んだりするなど、まるで舞台で演技しているような感情表現をする人は「演技性パーソナリティ障害」の可能性があります。こうした人は行為の目的が他者からの注目を集めることになってしまい、結果的に日常生活に不利益が生じてしまいます。
ほかにも不安障害やうつが原因で、悲哀感情が強くなっているケースなども考えられると思います。

ハートクリニック院長 浅井逸郎

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