こころの健康アラカルト

健康食品にハマる母

「母がある健康食品にハマってしまいました。そのせいで父との仲も険悪になっています。なんとか母の思い込みを緩和させたいのですが」20歳・女性からの相談です。
ご相談者は幼い頃から病気がちでしたが、数年前に母が勧める健康食品を飲み出したところ症状が改善しました。それ以来、お母様は健康食品の効能を信じ切ってしまい、メーカーのセミナーに頻繁に出かけ、数万円もするセットを親戚や知人に勧めては煙たがられているそうです。ご主人ともそれがもとで言い争いが絶えず、家庭の雰囲気も最悪の状態と言います。
「娘が健康になった商品を他の人にも勧めたい」というお母様の気持ちそのものは理解可能で、病気等の可能性は少ないと思います。しかし効能を盲信するあまり、周囲との人間関係を悪化させていることは問題です。
この場合、やめるように怒っても逆効果です。まずは「必要な人にだけ勧めればいい」ということを論理的に説明して下さい。
また間接的な方法ですが、旅行の計画を練ったり一緒に運動する、子育てについて話し合うなど、生活の中に健康食品以外の行動や問題を増やすことも効果的です。楽しく充実した時間が持てれば、「娘が健康食品で元気になった」という体験そのものが過去になっていき、自然と熱が冷めていく可能性もあります。

ハートクリニック院長 浅井逸郎

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