横浜院長の柏です。皆様、立て続けの連休いかがお過ごしでしたか。私は息子どもにせがまれ、連休渋滞の国道1号を辻堂まで出向いて鷹の爪の映画を見て参りました。B級アニメの王者とも言える作品ですが・・・面白かったです(^_^)v 写真はオマケでもらったDVD。いいでしょう、って誰も欲しくないか(>_<)
今日から双極性障害の薬物治療のお話をしましょう。前回までにお話しした、気分の波の振幅を小さくするお薬です。抗うつ薬はうつは持ち上げるが逆にハイテンションにしてしまうおそれがあり(下から上のベクトル)、定型抗精神病薬は躁を落ち着かせるがうつを改善する力はない(上から下のベクトル)ことから、これらうつ病や統合失調症で一般的に用いられる薬だけでは十分な改善、本質的な改善が得られないことがわかっています。
このため、双極性障害ではこの病気に特化した特別なお薬を使います。それが、気分調整薬と非定型抗精神病薬と言われる2つのグループのお薬になります。気分の波の振幅を小さくする、すなわちうつになれば持ち上げ、躁になれば下げてくれることが期待されます。代表的なものは以下の通りです(カッコ内は代表的な商品名。※は保険適応外)。
気分調整薬 mood stabilizers:炭酸リチウム(リーマス)、バルプロ酸ナトリウム(デパケン)、カルバマゼピン(テグレトール)、ラモトリギン(ラミクタール)、クロナゼパム※(リボトリール)、トピラマート※(トピナ)、ガバペンチン※(ガバペン)
非定型抗精神病薬 atypical antipsychotics:オランザピン(ジプレキサ)、アリピプラゾール(エビリファイ)、クエチアピン※(セロクエル)
非定型抗精神病薬というのは聞き慣れない言葉かも知れませんね。抗精神病薬とは精神病症状、すなわち幻覚、妄想、精神運動興奮などを抑えるための薬です。61年前に発見されたクロルプロマジン(コントミン)や56年前に発見されたハロペリドール(セレネース)など、統合失調症の治療に長年使われている薬物です。脳内ドーパミンを抑制するのがその中心作用ですが、国内では17年前から使われているリスペリドン(リスパダール)以降の薬物を非定型抗精神病薬と呼びます。詳しい話はいずれしますが、ここでは非定型抗精神病薬はそれ以前の定型抗精神病薬と異なり、統合失調症のみならず双極性障害、うつ病などにも効果が認められている、ということだけ知っておいて下さい。
気分調整薬(気分安定薬とも呼びますが、いわゆる「安定剤」(トランキライザー)と混同されそうなので、私は気分「調整」薬という呼び方の方が好きです)ですが、古典的には、上記のように炭酸リチウムと、バルプロ酸以下の6つの薬物を指します。この、リチウム以外の6つの共通点はてんかんの薬(抗てんかん薬)であるということです。なぜてんかんの薬が双極性障害に効くのか?まだまだ、基本的なことでもわかっていないことがたくさんあります。非定型抗精神病薬は、現時点ではまだ気分調整薬に含められていないが、徐々に含められるようになりつつある段階かと思います。これも含めると、下記のように整理されます。これから数回に分けて、これらを順に見て行きましょう。まずは王者、炭酸リチウムから始めますね。
コメント
私は、非定型抗精神薬が合いませんでした。筋肉がそわそわするというか、ふるふるするというか、おちつかなくなり、眠れなくなったりして、不快感に眠れなくなったりしたした。特に、セロクエルは精神的にもそわそわしたかと思えば、ひどい倦怠感に襲われたり、ひどいことになりました。
「鷹の爪」、絵を見てわかりました。相当のキャラが昔見たアメリカのアニメブラック魔王ナントカカントカというキャラに似ているなと思ったので。モーターレースバージョンと、飛行機レースバージョンがありました。魔王の飼い犬ケンケンの、人を小ばかにした笑い方が忘れられません。今回は、息子さんたちの希望だったのですね。
うちは「風立ちぬ」を観ました。沢木耕太郎氏が平坦だと評していた通り、題材が波乱万丈なのに、なんだかのっぺりした感じが否めなかったなあと感じました。航空工学の専門用語も多かったし、それをのっぺりしゃべられてもなあ・・・実在の人物を実名で扱ったやりにくさかなとも思いました。
先生、やっぱり南の島へ移住まで考えていたのですね。茅ヶ崎と言ったのは、先生が横浜院からいなくなってしまったら困るからです。せめてそのあたりで。
デパケンは処方されてますね。
効き目あります。
いろいろとありますね、気分調整薬。
抗てんかん剤があるとは思ってませんでした。
これからも興味深いです。
まねきねこさん
非定型の副作用、アカシジア、でしょうかね。非定型といえども抗精神病薬なので、ドーパミン遮断による副作用はありえます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
アメリカアニメはチキチキマシン猛レース(日本名)ですね。子どもの頃にやってましたね。なつかしいですね。年がばれますね(笑)。
たしかに感じが似ているかもですね。私も「風立ちぬ」を主張したのですが負けました。でも面白かったのでよしとします。
ハートクリニック石垣島に転勤したら、飛行機でご通院下さいね・・・冗談です。
隊長さん
まさにそのデパケンが抗てんかん剤なのです。次々回あたりで解説予定。乞ご期待??