横浜院長のひとりごと

横浜院長のひとりごと No.019   時薬

横浜院長の柏です。ゴーバスターズ第30話、何だか感動の最終回みたいな流れでしたね。しかしこれでメサイア編が終わりではあまりにあっけないので、きっとムッシュー・エンターも復活を見せてくれると信じましょう(何のこっちゃ、という皆様、どうもすみません。ただの特撮オタクでございます)。
さて、今日は時間についてのお話をします。前回まで、治療には長い時間が必要だというお話をしました。その補足をします。
以前、ある患者さんから「時薬」という言葉を教えられました。ときぐすり。
その方は大きな傷つきから見事に立ち直った方でしたが、いろいろな薬も役に立ったが、一番役に立ったのは「時間」というくすりだった、という話だったように記憶しています。なかなか含蓄の深い言葉だと思いました。
脳科学から考えると、複雑系である脳の神経回路が修復され、もとの可塑性を取り戻すのに時間がかかるということでしょうが、こころの動きの観点から考えても、傷ついた心が立ち直るのにはそれ相応の時間が必要という、皆が何となく理解していることとも一致するのでしょう。
うつ病の回復過程で「三寒四温」という言葉が使われますが、そのように傷ついた心・脳は行きつ戻りつ、つらい情報を少しずつ処理して乗り越えていくのだと思われます。薬物療法や精神療法、認知行動療法などの治療は、そうした時間が癒やしてくれる過程をいかにスムーズに進めるか、いかに「戻りつ」を減らすか、というところに一番効果を発揮するのでしょう。病気の程度が一定以上の場合、「戻りつ」ばかりになって「行きつ」がうまく進まなくなっています。その場合、薬物療法は治療の上で欠かせないものとなります。さらには、PTSDのような深い傷つきの場合、記憶がそこで固定してしまい時薬がうまく働かなくなっています。この場合は、カウンセリングなどの治療が必要であることも付記しておきます。
時薬を上手に使えるかどうか。それは、焦らず、気長によくなるのを待てるかどうかでしょうか。「まぁ、何とかなるさ」と気楽に構えられると治癒プロセスも進みやすいようですよ。

コメント

  1. まねきねこ より:

    「時薬」ですか。最近、「人薬」という言葉もよく聞くようになりましたね。
    さて、私の友人に、オタク話で精神疾患が完治したという話があります。
    発病してから10年も、病名がコロコロ変わり、かかっていたところも大病院で、担当医師も毎年新人の医師に変わっていたそうです。そして10年目、新人の女性医師がたまたまマンガ好きで、彼女と意気投合し、診療時間の半分以上はオタク話に花が咲いていたそうですが、劇的な回復に向かったそうです。彼女は今は薬も飲んでいなければ、数年前から通院からも卒業しました。オタク話は意外な特効薬かもしれません。
    先生も、これからもオタク話をお願いします。少なくとも私は先生のオタク話から元気をいただいています。

  2. 横浜院長 より:

    まねきねこさん
    いつもコメントありがとうございます。
    医師と患者様の相性があるというのは否定できないところだと思います。趣味だけでなくフィーリング、診察の流れの好き嫌いなどもあるでしょう。少しでも多くの方にご満足いただけるよう各医師とも努力しておりますが、どうしても相性が合わない、とお感じの際は受付にその旨伝えていただければと存じます。当院は複数の医師がおりますので、より相性の合う医師の診察を受けていただければと思います。
    私のオタク話から元気を得て下さっているとのお話、私のほうも元気をいただきました(^_^)。
    オタク話は懲りずに続けていきたいと思います。ごめんなさい>大多数の皆様(^_^;