「実母の介護で、感情的になってしまいます。これまで出来たことが出来ない『老い』の現実が悲しく、きつくあたってしまいます。」こんな相談が。
子にとって親は、とても大きな存在です。親は、時に子の欲求を満たすもので、そのため子の欲求の水準は、日に日に高くなり、満たされないと子どもはイライラするものです。 この前提を考えれば、親が年老いて、今まで出来たことが出来なくなる姿を見ると、本来の「大きな存在」と現実とのギャップに、不安になりイライラが起こりやすくなります。 「巨人」だった親を小さく感じ取った時、子は大人になるものですが、大人になりきれていない場合は、親の介護でイライラが激しくなると想像できます。
実際、未婚の女性などにこのようなケースが見られます。年老いた親を抱えると「遊びに行けない」「結婚できない」と、その原因にしてしまうのです。親が認知症であれば、介護する子どもの負担は、さらに大きくなります。
このような慢性的なストレスは、不安障害やうつ病などの心の病気につながる可能性を高めます。ですので、カウンセリングなどを通して、親に対する認識を改め、ストレスが溜まらないような対応をはかることも一つです。心の病気であれば、専門的な治療により介護の負担を大幅に減らすことも考えられます 。
ハートクリニック院長 浅井逸郎
コメント