「『私はこんなはずじゃない』といつも現実を否定し、理想の自分に頼ってしまいます。」こんな相談が。
自分に対する評価が、客観的なものと自分の認識との間にずれが生じていると考えられます。また、その相違が大きい場合、自我が肥大した状態と考えます。
心の病気を患っている場合も、自我肥大の症状が見られるケースもあります。 例えば、アルコール依存症の人は飲酒すると振る舞いが大きくなり、いわゆる管を巻く状態になります。また、自己愛性パーソナリティー障害という病気にも自我肥大は見られます。何もしなくても自分が特別扱いされて当然と考えるのです。この場合、特別扱いされないと怒り出すケースもあります。
統合失調症も同様に、例えば、何もしないで家にいるのに自分が為替相場に影響を与えていると思いこんだり、周囲の人が自分を注目していると思いこんだりする症状もあります。 一般的に、現状に満足せず努力して上を目指そうという姿勢や、チャレンジ精神を持つことは健全なことです。
しかし、自分自身の評価があまりにも現実とかけ離れているようであれば、心の病気の可能性も考えられます。
本人は認識しにくいので、家族や友人が専門医に相談することも一つの対処法です。
ハートクリニック院長 浅井逸郎
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