自筆証書遺言と公正証書遺言は、遺言として効力に違いはありません。遺言は日付の新しいものが最優先になるため、公正証書遺言があっても新しい自筆証書遺言が作成されれば、後の自筆証書遺言の方が優先されることとなります。
ただ、自筆証書遺言は、本当に本人が書いたものかどうか、本人が書いた際に判断能力の有無などについて、後に相続人の間から異議が出た場合に、公正証書遺言を比べると、そういう問題がなかった事を証明することが難しい場合があります。
また、遺言の記載方法として、特に不動産は登記簿に記載されているとおりの表示で記載することが必要ですが、不正確な表示を記載してしまう場合があります。さらに、遺言を実際に執行する場合に、公正証書遺言であれば、登記所や銀行で他の相続人などの押印や同意書等がなくとも、公正証書だけで不動産や預金の名義変更や解約ができますが、自筆証書の場合、相続人全員の同意書などが必要となり手間がかかることがあります。