体感とは、運動感覚、平衡感覚、臓器感覚などを含む自己の身体存在の全体的な感覚を指し、通常、健康時には意識にのぼらないものであります。
精神病的体感異常の場合には、基盤となる身体疾患がないにも関わらず、「脳がくさってしまい空っぽになっている。下半身に電気がかかってくる。お腹の中で虫が動き回っている。全身に針がさっている。」等、身体自我の障害を伴う奇妙な体感の異常を訴える場合があり、これを体感幻覚と言います。
主として、統合失調症にみられるが脳器質性精神病にみられることもあります。セネストパチーランスにおいて、体感異常や体感幻覚を主症状として他の精神症状を伴わず慢性に経過する病型に対して用いられてきました。
しかし、長い経過のなかで統合失調症と区別できない場合も少なくなく、ドイツや日本では独立した疾病としてではなく、統合失調症などにみられる異常体感という意味でつかわれることもあります。