福祉用語の基礎知識

ソーシャルインクルージョン

ソーシャルインクルージョンは、「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげよう、社会の構成員として包み支え合う」という理念であります。EUやその加盟国では、近年の社会福祉の再編にあたって、人種や宗教等に起因する社会からの一方的な差別や隔離等の社会的排除に対処する戦略として、その中心的政策課題の一つとされています。
ソーシャルインクルージョンは、近年の日本の福祉や労働施策の改革とその連携にもかかわりの深いテーマであります。2002年、厚生省(当時)でまとめられた「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会報告書」では、社会的に弱い立場にある人々を社会の一員として包み支え合うソーシャルインクルージョンの理念を進めることが提言されています。
一方、教育界を中心にここ数年間で広がってきた概念としてのインクルージョンは「本来的に、すべての子どもは特別な教育的ニーズを有するのであるから、様々な状況の子どもたちが学習集団に存在していることを前提としながら、学習計画や教育体制を最初から組み立てなおそう」「すべての子どもたちを包み込んでいこう」とする理念であり、これは特別支援教育へとつながっています。