こころの健康アラカルト

「プラス思考」の落とし穴にご用心

どんな問題が起こっても、よい意味に捉える、それが前向きな対処法と思い込んでいませんか。
例えば会社で上司に叱られたとします。そんな時「上司は私に期待してくれてる。落ち込まないで叱られた事に感謝しなきゃ」とプラスに捉えて状況を打開しようという人がいます。一見、前向きなようですが、これはちょっと問題なんです。
壁にぶつかった時、「必ずよくなる」という信念を持つのはもちろん必要ですが、先の例でいえば、「なぜ叱られたのか」という原因を突き止めないまま・・・つまりストレス源に目をつむったまま、感じ方だけを前向きにしたとしても何の解決にもなりません。むしろその抑圧が身体表現性障害等といった「こころ」の病気を引き起こす事すらあるのです。
上司の怒りの原因はあなたの仕事の遅さかもしれないし、ただの八つ当たりだったのかもしれない。大切なのは原因が何なのかを知って、それを取り除いていくこと。それこそが、本当の前向きな考え方なのですね。

ハートクリニック院長 浅井逸郎